滋賀県東近江市愛東町、季節の野菜や果物の直売で賑わう道の駅、「あいとうマーガレットステーション」のほど近くで、地域で伐採し不要となった竹を燃料にお湯を沸かす、ロケットボイラーを製造している工房がありますのでご紹介させて頂きます。
「こんなものが欲しい」をかたちにする工房
秋には紅葉で賑わう湖東三山。その麓、国道307号線にある道の駅から車で5分ほどの場所にその工房はあります。看板等は掲げておられず、主にリピーターと口コミやフェイスブック等をきっかけにお客様からの依頼を受けておられるようです。
工房の名前は「鍛鉄工房 室(たんてつこうぼう むろ)」
この工房では、お客様の要望により、インテリアからエクステリア、厨房機器など様々な作品を日々生み出しておられます。先日伺ったときは振り子時計を作っておられました。
伐採した不要な竹を燃料にするボイラー
そういった作品の中で、代表の安川昌樹さんに先日紹介して頂いたのは竹を燃料にしたボイラーでした。そしてそのボイラーを使い、有機農業をされている地元農家さんのビニールハウスに、床暖房設備を作られたとのことで実際に見に行かせても頂きました。
ドラム缶や廃棄ガス容器などを再利用して完成させたボイラーで、燃料は地域で伐採され不要となった竹を乾燥させたものを使用されています。そのボイラーで沸かしたお湯の熱を利用して、ハウスの地面に埋めた配管に温水を循環させてハウスの地面を温める仕組みでした。まだ実験段階でいろいろ調整しながら動かしているとのことでした。
私もお客様のお宅でガス給湯器や石油ボイラーの取替や床暖房の工事をさせていただくことがありますが、正直手作りでここまでのものができるのかと非常に驚いてしばらく見入ってしまいました。
資源、仕事まで地域循環志向で
製作されている安川代表にお話を伺うと、このボイラーを作ろうと思ったきっかけは、この滋賀県愛東地域では獣害対策のために竹林の伐採を行っておられるのですが、伐採後放置されている竹がたくさんあり、それを何とか活かせないかと思ったことからだそうです。
また、放置された竹を燃料として活用できれば、その竹の伐採や運搬、加工等を地元の福祉施設の仕事にできるのではないかということです。それが実現すれば、不要で放置された竹も消費処分でき、地域の方の仕事にもなるという好循環が生み出せるのではないか、と考えておられるとのことです。
現在はまだ完成形ではないとのことで、検証しながら改良を行われており、今後もっと性能や効率、用途に合ったものを生み出されることと思います。
今年もまた寒い冬がもうそこまでやって来ていますが、またこのロケットボイラーを見せて頂きに伺えればと思っています。その熱を利用して育てられた有機野菜の味も気になりますし・・・
ご興味がある方は一度工房を訪ねてみてください。頭の中のイメージを形にしてくれる、素敵な工房ですよ。
「鍛鉄工房 室」
住所:滋賀県東近江市鯰江町2180-2
電話:0749-46-8739
掛谷昌広
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